漫画ギーク記

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古市憲寿氏、おすすめ本まとめ6選

 

 世の中の多くの人と違った視点と鋭い物言いが魅力の古市憲寿さん。テレビなどのメディアで発せられる古市さんの発言は、ときにネットで炎上したりと何かと世間の注目を集めるが、彼の本業は「芸能人」や「コメンテーター」ではない。研究者であり、社会学者だ。

 そんな古市さんは、注目されるきっかけとなったヒット作『絶望の国の幸福な若者たち』を始めとして数多くの面白く読み応えのある本を出版している。そこには古市さんのメディアでの発言以上の鋭い「視点」「物言い」が存分に発揮されている。

 古市さんの書いた中でおすすめの本を5つまとめてみた。次の通りである。

 

絶望の国の幸福な若者たち

 

 格差社会・財政赤字・少子高齢化の加速...、年金は貰えるかわからないし、子供を産んでも保育園に入れない。今の「若者」は「不幸」である...はずなのだが、内閣府の調査によると、実は二十代の若者の70.5%が現在の生活に「満足」をしているらしい。

 さて、二十一世紀の絶望の国「日本」を生きる若者たちは本当に幸福なのだろうか?

 古市憲寿さんの出世作。20代の若者社会学者の書く「若者論」として話題となった。この本の中で、現代の若者たちは「自分たちが幸せである」と思っている割合が過去最高であるとのデータが示された。今までの若者に対する意見や考え、世間の常識を一刀両断した。若者への理解を深めたい人、取り敢えず古市さんの本を一冊読んでみたい人にはこれがおすすめである。

 

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だから日本はズレている

 

 この国の「大人たち」は、いつもどこかズレている。ジョブスのようなリーダーに憧れ、夢と絆で一つになれると信じ、「日本の良さ」は必ず伝わると疑わず、若者には変革を期待し、学歴や就活は古いと嗤い、デモSNSで世界は変わると訴える。

 この「勘違い」はどこからくるのか?

 国や企業の偉い人たち、つまり「おじさん」たちの考え方ってなんかずれてない?と疑問を呈したのがこの本である。クール・ジャパン戦略、ネット・SNSの炎上騒動、おもてなし、強いリーダー、脱原発デモなど、まさに「今」の社会問題のズレを鋭い角度から「口撃」する。

 『絶望の国の幸福な若者たち』が若者論としたら、『だから日本はズレている』はおじさん論である。おじさんを中心とした日本のズレを切る。

 

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保育園義務教育化

 

 もし保育園が義務教育になったら…?子供の学力は向上し、児童虐待は減少し、景気も向上?もちろん待機児童問題も解消される。

 「保育園義務教育化」は小学校・中学校だけではなく、保育園まで義務教育の枠組みに入れてしまえとの考え方だ。「保育園義務教育化」は社会の救世主になり得るのだろうか?

 「保育園義務教育化」をすれば、働く女性の数は増え、日本の労働人口は増加し、経済成長にも貢献する。二人目、三人目の子どもを産んでみようと思う家庭も増える。

 この制度は、「待機児童問題」「少子高齢化問題」さらには「日本の経済成長」に大きな貢献するのだという。日本の大きな社会問題を解決するかもしれないこの「保育園義務教育化」を独自の視点で詳しく紹介している。

 この本には愛が溢れ、読み終わった後には古市さんが好きになるだろう。

 

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希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想

 

 怒る老人、泣く若者。本書は、「世界平和」や「夢」を掲げたクルーズ船・ピースボートに乗り込んだ東大院生による、社会学的調査・分析の報告である。

 なんらかの夢や希望をもって乗り込んだはずの船内で、繰り広げられる驚きの光景。それは、日本社会のある部分を誇張した縮図であった。若者の「貧しさ」と「寂しさ」への処方箋としてもちあげられる「承認の共同体」の可能性と限界を探っていく。

 古市さんが、「平和」「環境」を理念としたいわゆる「左翼」な船のピースボートに乗り込んだ。そこにはどんな人たちが乗っていたのだろうか?社会学者としての目を通して、ピースボートの実例から今の若者たちの現実と夢への「あきらめ」を説く。

 この本が古市さんのデビュー作である。

 

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対談 「就活」という窓から見えるもの

 

 若者論を論じた古市さんと、直木賞受賞作『何者』で若者の「就活」を見事に描ききった朝井さん。それぞれに前途を期待されるふたりが、お互いの著作を読んで考えたこととは――?

 それぞれの本に垣間見える悪意から、「就活」にまつわる謎の言説のあれこれ、ツイッターの使い方まで、縦横無尽に語り合う注目の若手対談!

 短い対談本となっているが、二人の就職活動に対する考え方が出ている面白い本になっている。二人は就職活動を気持ち悪いものと断言する。注目の二人が「就活」の是非を話し合った面白い本。

 お互いの本に対する批評も言い合っていてこれもまた面白い。

 

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国家がよみがえるとき

 

フィンランドという国にどんなイメージを持っているだろうか?

「高負担・高福祉」の国として知られ、税金は高いがその代わりに社会福祉は充実していて死ぬまで国に面倒を見てもらえる。

フィンランドと日本、それぞれの国を代表する若手社会学者2人が「フィンランド」を徹底的に分析したのがこの本である。

本の構成としては、「教育」「福祉」「起業」などをテーマとしてフィンランドの学者、評論家などが自国について語り、それを古市氏が分析するとの流れとなっている。

 

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最後に

 いかがだったでしょうか?今後ますます注目を集めるであろう古市憲寿さんは、若者論から待機児童問題まで様々な社会問題に対しての著作を出しています。

 興味のある本があれば是非手に取ってみてください。どれも面白くおすすめです。