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猟奇殺人犯が、自分の模倣犯による殺人事件を追う『ハサミ男』【小説感想】

 

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを喉元に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」が現れた。

「ハサミ男」の特徴は、一度殺した少女にハサミを突き刺すこと。

このことがこの名の由来だった。

物語は「ハサミ男」視点とそれを追う警察の二つの視点から進んで行く。

ハサミ男が三番目のターゲットの少女に目をつけ、いつ殺害してやろうかと綿密に調べ上げていたところ、その少女が自分の模倣犯によって殺されてしまった。

喉元にはトレードマークのハサミも突き立てられている。

何がどうなっているのか?

警察が「ハサミ男」を追い、「ハサミ男」が模倣犯を追う奇妙な連鎖が開始した。

ミステリー小説の名作。種明かしに驚くこと間違いない。

 

「ハサミ男」の見どころ

ハサミ男、第三の事件

「ハサミ男」はターゲットの少女を無残に惨殺する。その選択方法は彼女たちの成績に魅かれたからという常人の理解からは程遠いもの。

「ハサミ男」の名は殺害方法からマスコミによって名付けられた。

この猟奇殺人犯が三番目のターゲットに狙いを定めたとき、何故か自分の目の前にその少女の遺体が現れた。

「ハサミ男」が殺したことの目標であるハサミも刺さっている。

「ハサミ男」は意図せずにして、自分の模倣犯の殺した少女の第一発見者となってしまった。

このことから、わずかながら自分と警察や連続殺人事件に接点が生まれてしまう。

何故こんなことになったのか、疑問に思った「ハサミ男」は自身で第三の事件の調査を開始する。

 

犯罪心理分析官

警察も必死になって「ハサミ男」を追う。

だが、ターゲット選択の方法の不明確さや乏しい証拠から捜査はなかなか前に進まない。

刑事の磯部と村木は管内で起きた殺人事件の担当刑事として「ハサミ男」を追うこととなった。

二人は、犯罪者心理を追うプロフェッショナルの犯罪心理分析官・堀之内の下に就き、本部とは別の独自のルートで事件の調査に乗り出す。

彼らの調査から事件の全容が徐々に明らかとなっていく。

 

ハサミ男の正体

「ハサミ男」の正体は何者か?

物語の半分は「ハサミ男」の一人称で進むがその真の正体は最後までベールに包まれている。

その異常な思想や行動原理は話が進むにつれてじわじわと見えてくる。

だが、最後の最後にある全てのネタばらしがすごい。

「ハサミ男」と事件の真実がわかったとき愕然とすること間違いない。

 

終わりに

というわけで『ハサミ男』を紹介した。

少女を殺してハサミを突き立てる猟奇殺人犯による事件の全容を描いたミステリー小説。

殺人犯が自分の事件を模倣した殺人犯を追いかける。

事件は最初から想定外の方向に転がり、まさかの結末を迎える。

面白いミステリー小説で思いっきり騙されたい人にはおすすめの小説である。 

 

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