高度に進化したIT技術と人間はどう向き合うのか。そんな、ITの世界の現在や未来を描いた、ショートショートの一巻完結漫画がこの『バイナリ畑でつかまえて』である。「バイナリ」はコンピュータ用語での「0」「1」を示す用語である。
将棋での「コンピュータvs人間」の戦いでの人間の格闘。dropboxの自動アップデートによる失敗。セカイカメラの歴史。SNSの黒歴史。ドローンの功罪。ARによる人格の再現。ストリートビューに映り込む淡い記憶。レコメンドエンジンがほのめかす人の情。古い携帯にしみこんだ後悔。など題材としているテーマは、多岐にわたっている。
SFを通じて、近未来に起こるであろうITの進化による功罪を、リアルに描いている。この作品で描かれた未来は、目の前にある...というかもう始まっているだろう。
(出典:『バイナリ畑でつかまえて』)
高度の技術と人間が向き合う物語
この作品は、ただただ IT技術の進化を羅列したものや、IT技術の紹介をしているだけのものではない。ショートショートのすべての物語にその技術と向い合う「人間」が存在する。「バイナリ畑でつかまえて」は、SFであるが「人」の物語でもある。
技術が進歩することは、基本的にいいことだ。しかし、その技術に人間が振り回されてるようではいけない。それらを使いこなす必要があるのだ。IT技術と向き合い、戦う人々がそこにはいる。
(出典:『バイナリ畑でつかまえて』)
コミカルのネタもあり
笑える、コンピュータでの失敗あるあるネタも含まれている。ちょっとしたあるあるネタで思わず笑ってしまうだろう。 SNS、dropboxには「やばい罠」が仕込まれている(笑)。
(出典:『バイナリ畑でつかまえて』)
個人的には、将棋の未来を描いた「人類は投了しました」が面白かった。タイトルも素晴らしい。
現在では、電子書籍でのみの販売となっている。リアルな未来を体感したい人、コンピュータネタで笑いたい人などにオススメの一巻完結漫画である。
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