漫画ギーク記

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天国への行き方。カバの汗はピンク色?殺しができる境界線etc...西尾維新による短編集『大斬ーオオギリー』【一巻完結】【漫画感想】

 

 「化物語」「めだかボックス」の原作者、西尾維新と少年ジャンプの漫画家達が手を組んだ。具体的には、「DEATH NOTE」の小畑健、「いちご100%」の河下水希、「めだかボックス」の暁月あきら、「ロザリオとバンパイア」の池田晃久など9人の漫画家とコラボしている。一巻完結の短編集で、こんな贅沢な短編集はこれしかない。

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(出典:『大斬ーオオギリー』)

 

西尾維新と9人の漫画家のコラボ

 この短編集で西尾維新とコラボしている漫画家一覧は以下の通りだ。

 

  • 小畑健(代表作「DEATH NOTE」)
  • 河下水希(代表作「いちご100%」)
  • 暁月あきら(代表作「めだかボックス」)
  • 池田晃久(代表作「ロザリオとバンパイア」)
  • 中村光(代表作「荒川アンダー ザ ブリッジ」)
  • 金田一蓮十郎(代表作「ライアー×ライアー」)
  • 中山敦支(代表作「ねじまきカギュー」)
  • 山川あいじ(代表作「Stand Up !」)
  • 福島鉄平(代表作「サムライうさぎ」)

 

  集英社系の漫画雑誌で活躍した大物たちとコラボをしているといったようなラインナップになっている。

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(出典:『大斬ーオオギリー』)

 

「RKD-EK9」小畑健

  まず、『大斬ーオオギリー』の中で「DEATH NOTE」の小畑健とコラボした「RKD-EK9」が面白い。

 

 5年前『天国』の実在が科学的に証明された

 それまで空想の産物だった『死後の世界』がついに観測されたのである

 科学者釜茹亡命(かまゆでぼうめい)の研究によってヒトの善行を数値化できるようになったことが大きい

 一定以上の『善意点』を溜めた『善人』は死後『天国』に行けることがわかったのだ

(出典:『大斬ーオオギリー』) 

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(出典:『大斬ーオオギリー』)

 

 この『善意点』を誤魔化して点数をあげ、無理やり天国に行ってしまおうといった研究をしていく物語になっている。しかし、この「天国」の設定がぶっ飛んでいる。 

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(出典:『大斬ーオオギリー』)

 

 第一天国「到達天国」、第二天国「極上天国」、第三天国「集合天国」...と第八天国まで続く。この謎の部分での全力な設定は西尾維新らしいなとも思う。

 果たして、天国に行けるのか?まさかのオチに「そう来たか!」と思うだろう。

 

「何までなら殺せる?」河下水希

 あなたは「何までなら殺せる」だろうか?蟻や蜘蛛などの虫なら誰でもぷちっと殺せる、魚だとちょっと嫌だと思う、カエルなどの爬虫類はさらに殺しにくくなると、高等な生き物になるたびに殺しにくくなってくる。そして各々が殺せなくなるハードルへとぶつかることになる。あなたは「何までなら殺せる」だろうか?

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(出典:『大斬ーオオギリー』)

 

 そんな生物の殺害に関するテーマになっているのが河下水希とコラボした「何までなら殺せる?」である。これまた「そう来たか!!」といったオチになっている。というより全ての話で読者への裏切りを含んだ痺れるオチになっている。 

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(出典:『大斬ーオオギリー』)

 

まとめ

 というわけで、西尾維新と9人の漫画家がコラボした『大斬ーオオギリー』を紹介した。コラボすることが目的となっていない。設定も内容も一癖ある内容となっている。紹介した二作以外だと、カバの汗の色がピンク色かどうかアフリカに行って確かめる「僕らは雑には学ばない」や、友達のいない二人がひたすらに雑談を続ける「友達いない同盟」もいい。

 どの短編も面白い内容となっている。極めて出来の良い一巻完結漫画である。

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(出典:『大斬ーオオギリー』) 

 

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