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北海道独立、水がなければ牛乳を飲めばいい!荒川弘による農家エッセイ『百姓貴族』【漫画感想】

 

 人類最強の職業は「百姓」である!!人間は食べられなきゃ生きていけないのだ!

『鋼の錬金術師』『銀の匙』の作者、荒川弘さんの実家は北海道の農家だった。農業高校を卒業し、漫画家になる前に7年間農業をしていたとのこと。その経験がノンフィクション・エッセイ漫画となったのがこの『百姓貴族』である。

 「北海道独立計画」「水がなければ牛乳を飲めばいいのに」「お金がないから冷蔵庫に牛肉しかない」などかなり過激な農業論も書かれている(笑)。

 

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(出典:『百姓貴族』)

 

愉快な荒川家の人々

 北海道にある荒川家は牛を飼っていたり、ジャガイモを育てていたりする農家である。大規模に農業をやっているので家族総出で農業に取り組む。『百姓貴族』では荒川家の面々は全員が「牛」で書かれている。

 荒川家の5人兄弟や(フォースチルドレンが荒川弘)

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(出典:『百姓貴族』)

父と母、

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(出典:『百姓貴族』)

加えて祖母・祖父と大家族で暮らしている。

 この中でも特にお父さんのキャラがぶっ飛んでいる。

「大雨で橋が流された川をアクセル全開でダイブし、向こう岸まで渡った」「切れかけた指を自分で治療してくっつける」「トラクターの後輪で息子を引いた」 などの伝説がたくさん紹介される。

 荒川家の兄弟たちはよく生き残ったなと本当に思ってしまう(笑)。

 

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(出典:『百姓貴族』)

 

過酷な農業生活

 農業生活はかなり過酷に見える。収穫期には朝5時に起きて牛の世話をし、朝食を食べたら畑仕事を夕方の6時まで、その後夜9時までまた牛の世話をし、夕食を食べて野菜の箱詰めと5時間の睡眠時間以外はひたすら働き続ける。

 さらに、牛の世話をしているので臭かったりもするとか。荒川さんも子供の頃にう◯

こまみれになった経験が何度もあるらしい。

 農業は汚くて、キツい過酷な仕事であるとの一面があるようだ。しかし、そんな農業の暗部も荒川さんの漫画では愉快に笑える。

 

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(出典:『百姓貴族』)

 

農家ならではのご褒美

 辛いだけではない。この本のタイトルは「百姓”貴族”」である。大変な分だけ、それなりのご褒美がある。牛肉、ジャガイモ、メロンetc...と、そう「ご飯」である。食べ物を作っている農家のご飯が美味しくないわけがない!

 荒川さんが東京に来て驚いたのはジャガイモの値段だとか。

「イモもダイコンもカボチャもヤマイモもキャベツもかったことも買った事ねーよ!!」 とのこと。うらやましい。

 

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(出典:『百姓貴族』)

 

 夕張メロンを食べ飽きたとかいつか言ってみたい(笑)。

 

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(出典:『百姓貴族』)

 

まとめ

 というわけで荒川弘によるエッセイ漫画の『百姓貴族』を紹介した。現在、最新刊は4巻まで発売している。これが本当にノンフィクションなのかと疑いたくなるほど面白くて、もう5巻の発売日が待ち遠しい。

 農業を題材とし、農業学校を舞台にした漫画の『銀の匙』の原点がここにあったのか、との内容となっている。 『銀の匙』などの荒川弘作品のファンはもちろん、農業・酪農に興味がある人、ぶっ飛んだエッセイ漫画で笑いたい人にはおすすめの作品である。

 

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(出典:『百姓貴族』)

 

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