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”道”を失った少女はどこへ向かうのか?古典部シリーズ『いまさら翼といわれても』【小説感想】

 

『いまさら翼といわれても』は、『氷菓』から始まる「古典部シリーズ」の第6弾である。

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。

夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘。

事件とは全く関係がなかった折木奉太郎だったが、少ない紹介からえるの居場所を導き出した

ひとりで向かったえるの居場所は一体どこなのだろうか?

そして、彼女の真意とは?

表題作の「いまさら翼といわれても」を始めとして、全6編が含まれている。

奉太郎、える、里志、摩耶花。「古典部」4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな青春ミステリー小説となっている。

 

「いまさら翼といわれても」のここが面白い

箱の中の欠落

折木奉太郎に対して、福部里志から奇妙な事件に関する電話がかかってきた。

神山高校で会長選挙が行われて、里志はその立会人を行った。

ところが、いざ開票をしてみると投票箱には、生徒の合計人数よりもはるかに多い数の票が入ってしまっていた。

会長選挙に何が起きたのだろうか?

奉太郎は、事件のあらましを聴きながら推理を行う。

 

鏡には映らない

奉太郎、里志、摩耶花は、同じ鏑矢中学校の同級生で卒業生であった。

鏑矢中学校の卒業生のほとんどの生徒は、奉太郎のことを悪く言っている。

それは、卒業制作として学年全員で行った制作物に対して、奉太郎が自分の担当の部分で、”手抜き”では済まされないほどにひどい物を作って、卒業制作を台無しにしたからであった。

摩耶花も当時は、奉太郎のことをひどいやつだと思っていた。

ところが、高校生になって同じ古典部で過ごしているうちに、奉太郎は理由もなくしてそんなことをするような人間ではないと気付き始めていた。

そのことを今になって奉太郎に聞いても、何も教えてくれない。

そこで摩耶花は、卒業制作に関わる真実を調べ始めることにした。

 

長い休日

「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」

奉太郎のモットーは一体なぜ生まれたのだろうか?

それは小学六年生のときに起きたとある事件がきっかけであった。

えるとの会話の中で奉太郎の過去が明らかになっていく物語となっている。

 

終わりに

といわけで、『いまさら翼といわれても』を紹介した。

『氷菓』から始まる「古典部シリーズ」の第6弾のミステリー小説である。

全6編の短編が含まれていて、特に表題作の「いまさら翼といわれても」は、タイトルの意味がわかったときに何とも言えない気分になってしまう。

ほろ苦い青春ミステリーに興味がある人には、古典部シリーズの『いまさら翼といわれても』がおすすめの小説となっている。

 

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