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無農薬リンゴを作った男『奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』【本感想】

 

絶対に不可能といわれてきたリンゴの無農薬栽培を成し遂げた男がいた。

彼の名は、「木村秋則」。青森県でリンゴ栽培を営んでいる。

そんな彼が、あるときにリンゴの無農薬栽培をすることを思いつき、挑戦を始めた。

しかし、そのことで彼は長い期間の極貧生活を送ることになり、地域で孤立してしまう。

なぜ、「無農薬リンゴ」を作ろうと考えて、どんなに辛い思いをしても諦めずにやり遂げることができたのか?

一人の男の過酷な挑戦が書かれたノンフィクションとなっている。

 

「奇跡のリンゴ」のここが面白い

リンゴの無農薬栽培の難しさ

普通の野菜や果物で、無農薬栽培は当たり前のように行われている。

しかし、リンゴに関してはこれらの作物と比較にならないほどに無農薬栽培が難しい。

そもそも私たちが食べているような、甘くて大きなリンゴというのは自然界に存在していない。

自然にあるリンゴは、もっと酸っぱくて実が小さい。

そんな自然のリンゴをより甘い実を作ることだけを目的にして、人間の手で品種改良を繰り返すことによって、作り上げたのが今のリンゴなのである。

その際に、本来自然の木に備わっている害虫や病気に対する耐性は一切考慮せずに、農薬を使うことを前提にして品種改良が繰り返された。

実は、私たちが食べているリンゴの品種のほとんどが、農薬が開発されてから生み出されたものなのだ。

リンゴは農薬なしでは、生きることができない弱い植物なのである。

農薬散布によって真っ白になったリンゴ園というのは、リンゴの産地にとっては子供の頃から見慣れた光景である。

そんな、「絶対不可能」と言われているリンゴの無農薬栽培に挑戦した一人の男がいた。

 

不可能に挑戦した男

リンゴの無農薬栽培に挑戦した「木村秋則」も、元々は普通に農薬を使ってリンゴを栽培している農家の一人だった。

リンゴは農薬がないと生きられないとの”常識”を普通に知っていた。

だが、本当にそうなのだろうか?

そう思ってしまったことによって、木村の挑戦が始まった。

農薬の使用をやめた木村だが、この”常識”はやはり正しく、リンゴの木は病害虫に犯されて、一切実を実らせることがなくなってしまう。

当然、収入はゼロ。

このことによって家族一同、辛く長い極貧生活が始まることになった。

木村もリンゴ農家なのにバイトに行くことになったりと、とにかくこの頃の極貧生活のエピソードには凄まじいものがある。

そして、この生活が何年も続いていく。

その間にリンゴは一切と実を実らせることはない。

そんな彼の様子を見て、近所のリンゴ農家たちは、木村は気が狂ったとの噂をしていた。

しかし、彼は「リンゴの無農薬栽培」という夢を諦めずに、ついに成し遂げることになる。

この本は、そんな彼の戦いの日々が描かれているノンフィクションとなっている。

木村のとてつもない”執念”に驚かされること間違いない。

 

終わりに

というわけで、リンゴの無農薬栽培に挑戦した男のノンフィクション『奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』。

彼の凄まじい熱意や過酷な挑戦に衝撃を受けること間違いない。

無農薬のリンゴが完成したときは、感動を覚える。

「不可能」に挑戦したひとりの男の物語に興味がある人には、おすすめのノンフィクションとなっている。

 

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