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ひどい名前、キョーレツな姿、女王君臨の階級社会『ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係』【本感想】

 

ハダカデバネズミ

ひどい名前、キョーレツな姿、女王君臨の階級社会。

動物園などで人気急上昇中の珍獣・ハダカデバネズミ。

その珍獣にとりつかれた研究者たちが、ハダカデバネズミの魅力を存分に語り尽くしたのがこの本である。

そこには、「こんなくらしもあったのか!」と仰天してしまうミラクルワールドがある。

なぜ裸なのか?

独裁者の女王は幸せ?

ふとん係ってどういうこと?

知れば知るほど興味が湧いてくる「ハダカデバネズミ」づくしの一冊となっている。

 

「ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係」のここが面白い

ハダカデバネズミ。

この強烈なネーミングがまずは目を引くのだが、名前に負けずにその生態も面白い。

その名の通りに、彼らは哺乳類には珍しく、毛がなくて裸のネズミである。

そして、歯は”出っ歯”。

ルックスのインパクトも半端ではない。

一見するとなんだか「気持ちが悪い」と印象を受ける人も多いと思う。

そして、その生態は、哺乳類なのに変温動物。

体のサイズの割には、数十年生きて、異例なほどの長寿。

地下に穴を掘って、群れで暮らしている。

一匹の女王、数匹の繁殖オス、数十匹の働きデバと兵隊デバから構成されてたコロニーを作っているなど、なんだか妙で面白い。

子育てには、布団としてじっとしているだけの布団係がいたりもする。

不思議な生態に、知れば知るほどハマってしまう魅力がある。

 

独裁者の「女王」

数十匹で構成されているハダカデバネズミの群れには、一匹の女王がいる。

彼女が、群れの中での絶対的な権力者で逆らえるものは誰もいない。

女王が群れの中で、唯一の子供を産むことができる存在でもあり、大切な存在なのだ。

彼女の旦那役のオスは、数匹いる。

旦那たちは、女王の次に偉いのだが、女王の呼び出しがかかればいつでも飛んでいかねばならない「かかあ天下」となっている。

そして、その彼女らの下で、兵隊デバや働きデバが群れのために働いている。

こんなピラミッド型の群れなので、女王が一番楽なのかと思いきや、そんなことはない。

研究によると、女王の睡眠時間が一番短いらしい。

群れの中で悪いことをしているやつはいないかと見張らなければならなかったりと実は仕事は多い。

ハダカデバネズミの世界でもトップに立つものは楽ではないのだ。

 

布団係とは!?

ハダカデバネズミの中には、その名の通りに「ふとん役」となる布団係という。

デバたちは、哺乳類なのに変温動物で体温調節機能を持っていない。

穴の中に住んでいる彼らは、トンネルの中が冷えてくると、体の小さい子供が真っ先に体温を失ってしまう。

これを防ぐために、デバたちの一部が、ふとん係となって子供達を温めている。

彼らは、本当にふとんのようで、複数匹でただ床に寝そべって「肉ぶとん」となり、じっと動かずに何もしていない。

その上に子供達がよじ登っている。

肉ぶとんも複数匹が積み上がっているので、下の方のデバは苦しいのでは?とも思うのだが、全く意に介さずに熟睡しているように見えるとのこと。

ふとん係の様子は、写真付きで本の中に紹介されている。

「ふとん係」の仕組みは、なんともユニークで面白いのだが、ほかにもデバたちの変わった面白い生態が色々と紹介されている。

 

終わりに

というわけで、珍獣の生態に迫った『ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係』を紹介した。

女王君臨の階級社会、ふとん係、鳴き声によるコミュニケーションなど、彼らのことは知れば知るほど面白い。

彼らの生態以外にも、著者たちの研究室で初めてハダカデバネズミを飼った苦労などが書かれている。

写真やイラストも数多く載っていて読んでいて楽しい本となっている。

「ハダカデバネズミ」たちの生活を実際に見に行きたくなってくる、「ハダカデバネズミ」への”愛”が詰まった一冊となっている。

 

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