代表作として「すべてがFになる」「スカイ・クロラ」等があげられる作家の森博嗣さん。デビュー19年、出版数280冊に及ぶ作者が、職業「小説家」として稼いできた金額について書いた本である。金額に関しては実際のデータに基づいてしっかりと書かれている印象。売れっ子作家がここまで細かく収支について述べた本は珍しいだろう。作家志望でなくても面白い。作家志望だと参考になる話が盛りだくさん。税金対策の勉強にもなる!?
作家って儲かるの?
森博嗣さんの作品の中で最も売れた本はデビュー作の「すべてがFになる」だとか。「すべてがFになる」でいくら儲かったのだろう。「すべてがFになる」は新書サイズのノベルス版と文庫版のに形式で出版されている。それぞれの形式での発行部数の推移は以下のようになる。
(出典:『作家の収支』)
ノベルス版のでた三年後に文庫版が出版されている。ノベルス版は累計13万9600部、文庫版は累計63万9300部、合計約78万部発行されている。2014年に文庫版が急激に伸びているのはドラマの影響である。
作者に入る金額は定価に印税率10〜12%をかけた額である。ノベルス版では約1400千万、文庫で約4700千万の印税があり、合計6000万円以上稼いでいる。「すべてはFになる」一作品だけでである。すごい!
ちなみに。今まで出版した本の総部数は約1400万部で、稼いだ総額は15億円とのこと。作家は売れっ子になれば「儲かる仕事」であるようだ。
ドラマ、アニメ、漫画、翻訳、講演、入試問題...の収支
森博嗣さんは小説家であるがメディアミックスされた作品もある。講演などの仕事もあるとか。それらについてもこの本に書かれている。以下に目次の一部を抜粋する。
- 「解説」を引き受けるといくら?
- 「推薦文」を書くといくら?
- 漫画家されたらいくらもらえる?
- 講演をするといくらか?
- 取材を受けたらいくらか?
- ドラマ化さたらどのくらい儲かる?
- アニメ映画の影響力はどれくらい?
- 「関連グッズ」というものもある
(出典:『作家の収支』)
どれも興味深い話ばかりである。一度知名度が上がれば、儲けようと思えば儲かる仕事が多そうだなとの印象。逆にびっくりするくらい儲からない仕事もある。
この本の書かれた趣旨は、森博嗣という作家の収支をみるこを通しての自分にもこれくらいのことはできそうだとか、ちょっと無理そうだなという自己観測だとか。人生設計のための有益なデータとして使って欲しいとのこと。
わかったことは、「作家は売れれば儲かる」こと。作家志望の人がいれば人生を賭ける価値がありそうだ。
『すべてがFになる』の記事はこちら