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外交のスペシャリストが読み解くインテリジェンスの世界『賢者の戦略』【本感想】

 

 元外交官で著作「国家の罠」で知られる、佐藤優と元NHKで外交ジャーナリストの「手嶋龍一」さんによる、外交の「インテリジェンス」の世界について、語りあった本がこの作品である。

 外交のスペシャリストの二人がロシアによるクリミア併合問題、ウクライナでの内戦、東シナ海での問題、イスラム国の問題等々を独自の情報網と視点で解き明かしていく。これを読むと外交の世界の見方が変わってくる。

 

混沌とする世界情勢に対する二人の見方

 本書で扱われるテーマは、極めて幅広い。日本はもちろんのこと地球の裏側まで様々な世界の問題を取り扱っている。具体的には、ロシアによるウクライナ併合問題、アメリカによるメルケル首相の携帯電話盗聴問題、北朝鮮による核・ロケット開発、拉致問題、日本と中国の東シナ海・尖閣諸島問題、集団的自衛権の問題での創価学会の暗躍、イスラム国による中東問題等々だ。

 二人は民間人であるが外交のスペシャリストであり、二人に秘密情報を伝えてく人間は、日本人・外国人を含め多いという。ニュースを見ているだけではわからない外交の問題が盛りだくさんの内容となっている

 

驚くほど当たる二人の予想

  二人の予想は驚くほどよく当たる。例えば、拉致被害者の横田めぐみさんの親の、横田夫妻とその孫の面談はモンゴルの都市「ウランバートル」で行われた。二人は以前の著作の対談で北朝鮮問題はモンゴルが、鍵を握っているとの会話をしていたという。これは、見事に的中した。これ以外にも様々な予測で、彼がシナリオを書いてるかのごとく世界情勢は進んで行く。

 これは二人の「インテリジェンス」の能力の高さを示している例であろう。インテリジェンスの能力は何も外交のみで使うものではない。ビジネスなどの普通の場でも使えるのだ。二人は「インテリジェンス」能力を学ぶ教科書として「CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる」をあげている。この本にも「インテリジェンス」能力を学び、高めるヒントが散りばめられている

 

 というわけで、本作は外交のスペシャリストの「佐藤優」「手嶋龍一」による世界情勢を独自の視点で解説した政治・外交の本だった。その分野に興味がある人にとっては必ず得るもののある一冊になると思う。