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人間は過剰に「心配」をしてしまう生き物だ。『心配学 「本当の確率」となぜずれる?』【本感想】

 

 人間は「心配」をしすぎる生き物である。会社が倒産するかもしれない、就職ができないかもしれない、恋人が浮気しているかも......と日常生活を送っていると様々な「心配事」が溢れているように感じてしまう。しかし、その心配事が起こる「本当の確率」はどれくらいなんだろう?と考えた事はあるだろうか?

 『心配学 「本当の確率」となぜずれる?』は日常生活などにある「心配」を確率的に計算し、私たちの感じる「心配」と「本当の確率」のズレを解き明かした本である。

 この本を読むと人間がどれだけ過剰に「心配」をしてしまっているのかがわかってしまう。

 

「心配」の源は「リスク」

 人間はなぜ過剰に「心配」をしてしまうのか? それはあらゆる事に「リスク」があると考えるからだ。例えば、飛行機に乗ったら飛行機が落ちる「リスク」があり、焼肉を食べたら食中毒で死ぬ「リスク」があり、外に出れば交通事故で死んでしまう「リスク」があると考える。

 このように人は何か大切なものを失う「リスク」があると思うので、物事に「心配」をしてしまう。「心配」の源は「リスク」なのだ。

 しかし、この「リスク」は本当に存在するのだろうか?リスクの定義は以下のようになるという。

 

「リスク」=「起きる確率」×「結果の重大性」

 

 さきほどあげた3つの例だとどれも結果として死んでしまう。「結果の重大性」は極めて大きい。しかし、「起きる確率」はどれくらいだろう。本来「起きる確率」が限りなく0に近ければ「結果の重大性」は大きくても、その「リスク」はほとんど存在しない。

 しかし、僕たちは「飛行機が落ちる確率」「交通事故で死ぬ確率」「食中毒で死ぬ確率」を知らない。でも、死んだら困る。

 人間は、「起こる確率」を知らずに「結果の重大性」にのみ目を向けてしまうため「リスク」を過剰に評価するのだ。これが「過剰」に心配する原因となる。

 

「本当の確率」はどれくらい?

 この本には「本当の確率」がいくつかのっている。さきほどの例についてその部分を引用する。数字は全て10万人あたり年間で何人がその事象に当たってしまうかの確率である。

  • 交通事故で死ぬ......3.3人
  • 飛行機事故で死ぬ......0.013人
  • 食中毒で死ぬ......0.004人

(数字は全て10万人あたり)

(出典:『心配学 「本当の確率」となぜずれる?』)

  計算方法や年で多少ズレはするが確率はおおよそ変わらないという。これを自分に当てはめると、

  • 交通事故で死ぬ......0.000033%
  • 飛行機事故で死ぬ......0.00000013%
  • 食中毒で死ぬ......0.00000004%
(1年あたり1人に起きる確率)

 ゼロが並びすぎてわけがわからない。

 とりあえず日常生活をおよそ3万年過ごして、交通事故で死ぬ確率が1%くらいなものであると計算できる。人間の人生は100年程度しかない。

 これほど極小なことを「心配」するのは無駄ではないだろうか。「本当の確率」を知れば自分がいかに過剰に心配をしてしまっていたかがわかるはずだ。

  

まとめ

 『心配学 「本当の確率」となぜずれる?』を読むと、人間がいかに過剰に「心配」をしすぎているかがよく分かる。

 確かに、「会社が倒産すること」「就職ができないこと」「恋人が浮気していること」に対する「結果の重大性」は高い。しかし、「本当の確率」はどれくらいだろう?「リスク」の見積もりはかじょうではないか?

 「心配」をしすぎることで、自分の「自由」を制限されてはいけない。正しく「心配」ができれば「行動の範囲」は広がるはずだ。

 

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