漫画ギーク記

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交差する十以上の人生。全く読めない展開に翻弄とされる『ラッシュライフ』【小説おすすめ】

 

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。

父に自殺された青年は神に憧れる。

女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。

職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。

 

様々な人生と思惑を持った人々が交わる場所は仙台。その地ではバラバラ殺人事件が起きていた。

並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。

不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開が凄まじい伊坂幸太郎による小説。

彼らの”人生”が描かれる。

 

「ラッシュライフ」のここが面白い

神に憧れる青年

その青年・河原崎は神に憧れて新興宗教へと入信した。

彼がこの宗教へとのめりこむきっかけとなったのは「高橋」という人物の予知だった。

「高橋」は過去に起きた連続殺人事件で、次に事件が起こる現場をぴったりと当てたことがあった。

メディアにも大々的に取り上げられて一躍時の人となる。

彼は、新興宗教の教祖をしていた。

このことがきっかけで、彼の宗教の信者は増え、河原崎もその内の一人だった。

そんな彼の元に、宗教の幹部から高橋を殺して解体しないかとの誘いがあった。

 

伴侶を殺して再婚を目論む男女

心理カウンセラーの京子はサッカー選手の青山と不倫をしていた。

お互いに結婚している身であったにも関わらずに、再婚を望んでいたため、それぞれの伴侶を殺す計画を立てていた。

まずは京子の夫を殺してから、青山の妻を殺す。

これで二人は結ばれる計画だったのだが、自体は思わぬ方向へと動き出す。

 

交わり出す人々の”人生”

それ以外にも、ピッキングで空き巣をする凄腕の泥棒・黒澤と、野良犬を拾ってしまったリストラされた無職の男・豊田の四つの物語が”平行”して進んでいく。

そして、それらに登場する幾多もの人々。

全く関係ないと思われるこれらの”人生”が仙台の地で交わり出す。

最後まで読むと納得感のあるトリックが、これらの四つの物語に仕組まれている。

 

終わりに

というわけで、『ラッシュライフ』を紹介した。

バラバラ殺人事件が起きている仙台の地を舞台として四つの物語が平行して進んでいく小説。

全く関係のなかった彼らの人生は、数奇な運命によって絡まり合っていく。

伊坂幸太郎による小説。

読めない展開に翻弄されたい人にはおすすめの作品となっている。