漫画ギーク記

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混沌とした世界情勢を見据えた予測本「大前研一 日本の論点2016~17」【本感想】

 

混沌とする社会に世界情勢。

年金制度の破綻、アベノミクスの先行きの見えなさ、TPPの迷走、中国経済の成長の停滞、少子化問題などなど日本や世界には問題が山積みである。

2016年から2017年に世界はどう変化していくのか?

世界NO.1戦略コンサルティングファームのマッキンゼーで、日本支社長、アジア太平洋地区会長などを歴任した大前研一による未来予想や問題解決方法が書かれた本がこの『日本の論点2016〜17』である。

独自の視点で世界を切った、刺激的な本となっている。

 

「大前研一 日本の論点2016〜17」のここが面白い

あらゆる世界情勢についての近未来が語られる

事業家として人気と知名度がある大前研一氏。

彼の意見は鋭く的確かつ論理的であり非常に面白い。

この本では2016〜17の近未来に関しての起こるであろう問題や起きてしまったことについてその解決方法を含めて語られている。

「大学は世界レベルの職業訓練であれ」「日立と三菱重工は経営統合すべき」「水素ステーションは危険すぎる」「中東争乱、アメリカは日本に何を期待しているのか」「イスラム国を育てたのは誰なのか」「世界に広がるポピュリズム」などあらゆる事象の数々が取り上げられる。

 

アベノミクスのまやかしは見透かされている

アベノミクスによる経済政策は一定の成果を残したものの日本の経済を成長させることができるほどの効果を生み出すことはできていない。

日本の問題は「低欲望社会」で消費者の購買意欲が低いことにあり、この部分はアベノミクスによっては刺激されない。

日本経済を立て直すには低欲望社会の問題を解決するしかなく、そのためには一つに外部から人を入れる移民政策。二つ目に、安心して子供を産み、育てられる社会を作る少子化問題、三つ目に世界と戦える気概と大志を持った人間を育てること。

これらによって日本経済の立て直しができる可能性があり、アベノミクスの経済政策だけでは難しいのである。

 

「水素ステーション」は危険すぎる

将来、化石燃料は地球上から尽きてしまい、次のエネルギーを見つける必要があるを言われる。

そんな中で一つのアイディアとして言われるのが「水素社会」。

車をはじめとして社会インフラとしてクリーンエネルギーとして「水素」を使おうとの考え方がある。

しかし、この水素は危険すぎる化学物質なのだ。

確かに水素はありふれた物質であり、容易に確保することができる。しかし、福島第一原発を爆発させた物質も水素であったりと大爆発を起こしかねない物質なのだ。

いずれ、水素があらゆる場面で使われる「水素社会」は来るのかもしれない。

だが、今すぐこれを実行しようとするのはまだ技術が間にあらずに時期尚早である。

 

終わりに

2016〜2017年の世界や日本の未来はどうなるのかを大胆予測したのがこの『大前研一 日本の論点2016〜17』である。

鋭くて斬新な意見の数々が読むことができて、刺激的な本となっている。

社会問題を”論理的”に考える力をつける上でも良い。

考えさせられる未来予測を見てみたい人にはおすすめの本となっている。