主にSF小説などを書き、特にショートショートが有名な小説家「星新一」。
人間の心への深い洞察や人間社会へのブラックジョークが魅力的な作家である。
そのなかでも、ショートショート作品は短い話のなかで起承転結がしっかりとあり、唸らされるようなオチまで準備されていて、いくつ読んでも飽きない面白さがある。
そんな小説家・星新一の代表作の中でおすすめ小説をまとめてみた。
基本的に複数の話が含まれる短編集だが、どの本にも名作・傑作が勢揃いとなっている。
それでは、どうぞ。
「星新一」のおすすめ小説まとめ
ボッコちゃん
星新一の本人によるショートショートの自選集。
ミステリー、SF、ファンタジー、寓話、童話などのあらゆるジャンルの歴代ショートショート作から選ばれて、特に初期作品を多数収録している。
表題作品「ボッコちゃん」をはじめとして、「おーい でてこーい」「盗んだ書類」「マネー・エイジ」「親善キッス」「よごれている本」「月の光」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「殺し屋ですのよ」「ゆきとどいた生活」「暑さ」など、ときに楽しく、ユニークな発想も見られて、ショープな風刺も効いている様々な物語をこの一冊で読むことができる。
全部で50編収録される。
星新一の小説を読むなら、まずはぜひ読むべき一冊である。
きまぐれロボット
お金持ちのエヌ氏は、博士が最も優秀と自慢するロボットを買い入れた。
オールマイティのなんでもできるロボットだが、時々あばれたり逃げたりととんでもない行動をする。
ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は博士に文句を言ったが、実はこれら行動にも合理的な理由が隠されていた。
表題作「きまぐれロボット」を始めとして、”SF”ジャンルの様々なショートショート作が収録される短編集。
思わず唸ってしまう全35編が含まれている。
未来いそっぷ
「ウサギとカメ」「北風と太陽」「アリとキリギリス」など誰もが読んだことのある寓話を星新一が書いたらどうなるのか?
それぞれの童話にあった今まで通りの教訓は学べない。
「北風と太陽」では、太陽は上着を脱がすことができないし、「アリとキリギリス」のキリギリスは楽しく人生を謳歌してしまう。
愉しい笑いと痛烈な諷刺で面白おかしく童話を再構成したショートショート集。
書き直された童話以外にもオリジナルのショートショートも数多く収録されている。
全33編の物語を楽しむことができる作品となっている。
おかしな先祖
星新一による”SF落語集”。
収録される9つの短編は、すべてがジャンルとしてはSFに属して、”オチ”のある物語となっている。
どの話も作者本人が、”SF落語”としての物語を書いてみようと試みて作られたものとのこと。
モテなかった3人の男は、自分たちの体を組み合わせることを考えた。
とある青年は幸運を手に入れ続ける機会を手に入れた。
伴侶とした女性は美しすぎるがゆえに男を毎日引き込んで来てトラブルが絶えなかった。
などと、SFのような物語に対して、最後にとんでもないオチが待ち構えている短編の数々となっている。
悪魔のいる天国
人間の生活のすぐ側には、悪魔たちは潜んでいる。
ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”たち。
その存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出したショートショート集がこの作品である。
悪魔の潜む壺を見つけてしまったとある博士のお話『合理主義者』、人間界へと降り立った悪魔が魂を引き換えに社会への復讐の手助けをする『契約者』、仕事として人間を脅していくサラリーマンのような幽霊の日常を書いた『殉職』、人間に代って言葉を交わすロボットインコの話『肩の上の秘書』など、悪魔のでてくる話やそうでない話など全36編が収録されている。
ブラックなユーモアの効いた物語が数多く収録される。
妄想銀行
人間のさまざまな妄想を取り扱うエフ博士の妄想銀行は連日大繁盛。
エフ博士は、人間から妄想を取り出してその妄想をなくし、その妄想を必要としている人に渡すことでビジネスをしている。
妄想を取り出される側は、例えば、男子学生の場合だと、思春期にありがちな女性に関する妄想を取り出す。すると、学生たちは一心不乱に勉学に打ち込み、一流の企業へと就職を果たす。
妄想を受け取る側は、自分に足りない願望や欲望を手に入れることで今まで以上の能力を発揮することができるようになる。
そんな、「妄想銀行」を運営するエフ博士だったが、あるとき自分が愛する女性を手にいれるために、この”妄想”を使おうとした。
だが、このことによって彼はとんでもないしっぺ返しを食らうことになる。
ショートショート集で、ユーモア溢れる32編が収録される。
ようこそ地球さん
文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している。
人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、皮肉げに笑い、人間の弱さに目を潤ませながら、奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜて描いたショートショート42編を収録される。
こんなことが将来の地球でも起きるかも...との不思議な予感を感じてしまう物語の数々を楽しむことができる。
おのぞみの結末
家事万能のロボットを手に入れたら...。
世界平和をめざす秘密組織が実権を握ったら...。
安逸と平穏をのぞみながら、退屈な日々にあきたらず、精神と肉体の新たな冒険を求める人間。
超現代のなかでも、あいかわらず滑稽で愛すべき、人間らしい心の動きをスマートに描く短編集。
全11編が収録される。
新鮮な発想、奇想天外なストーリーの展開、そして意外な結末は、「あたかもアイディアを凝集した玉手箱」のような1冊となっている。
地球から来た男
奇妙な運命に翻弄される男達を描いた物語の数々。
とある男は産業スパイをしようとしたこたがばれて、地球外へと追放された。
別の男は、悪魔を召喚しようと儀式を行ったら、近くに住む女性を召喚してしまった。
誰もいないのに耳元で「くすくす」と笑う幻聴が聞こえる男もいれば、何もしていないのにとにかく幸福なことが起き続ける男もいた。
そんな、不可思議な現象に翻弄されていく男たちの命運を描いたショートショート集となっている。
16編の物語が収録される。
声の網
とある時代、とある世界で、電話は単なる通話の道具ではなかった。
ある番号を回せば、自分の商売に関連した情報が即座に送られてくる。診察器と組み合わせれば、居ながらにして病院の診察も受けられる。
そんなある日、とあるマンションの一階にある民芸品店の電話が鳴り、「今からそちらの店に強盗が入る」との警告があった。
いたずらかとも思ったが、なんとなく気になった主人は店を早めに閉めようとした。
だが、ちょうどそのときに予告通りに強盗が店に押し入ってきてしまった。
SFの物語で、不思議な電話から人々の人生が狂い出す。
人間とコンピューターの共存・境界・支配について書かれた小説となっている。
終わりに
ショートショートの名手「星新一」のおすすめ小説をまとめてみた。
SFジャンルの物語を書くのが得意であり、SFを中心として様々な話が書かれている。
ブラックジョークの効いた話も刺激的で考えさせられたりとして面白い。
まだ、一冊も読んだことがないという人には、本人自選のショートショート集『ボッコちゃん』から読んでみるのがいいと思う。
これが面白ければ、他の作品もぜひ読んでみてほしい。
短めの話が大多数なので、ちょっと空いた時間などにもオチまで読めるので読みやすい。
興味のある小説をぜひ手に取ってみてください。
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