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総理復活の裏舞台。そこには隠されたドラマがあった『総理』【本感想】

 

そのとき安倍は、

麻生は、菅は−−−。

綿密な取材で生々しく再現されるそれぞれの決断。

迫真のリアリティで描く、政権中枢の人間ドラマ。

 

第一次安倍内閣の終焉後、第二次安倍内閣にて見事に復活を果たした安倍総理。

その裏で何があったのかの真相は当事者以外の誰も知らない。

そんな”舞台裏”に潜入することに成功した一人の記者がいた。

彼が明かす安倍総理の真実やその生々しさに驚きを覚える一冊である。

 

「総理」のここが面白い

記者・山口敬之

この本の作者で記者の山口敬之氏が安倍総理と出会ったのは、まだ総理になる前の2000年のことである。

小泉内閣の安倍官房副長官番、いわゆる「番記者」のときである。

出会った当初からウマがあい、政策や政局の議論をしたり、ゴルフをしたりと信仰を深めた。

そして、そこから第一次安倍内閣を組織し、一度野に下り、もう一度総理となった国を率いる16年間、総理のすぐそばで見てきた。

そんな、彼による”安倍総理”が語られる。

 

緊張感ある語り口

翌日の夜、私は麻生と安倍と3人で都内のバーの小さな個室に集まった。

3人で集まると砕けた雑談から会話が始まるのが常だったが、この夜は場の空気が違っていた。

ピリピリとした緊張感のなかで、麻生がいきなり本題に入った。

「谷垣が出ないとなった以上、状況が変わった。安倍さんは出ると聞いているが、勝てるのか?」

「麻生さんが応援してくれなきゃ勝てませんよ。しかし、応援してくれるなら勝てる」

平素あまり断定的な表現をしない安倍の決然としたもの言いに、麻生が応えた。

「わかった。経緯はどうあれ、俺にはほかの二人(石原、石破)という選択肢はない。安倍がやるなら俺は乗る」

(出典:『総理』)

 

この本では作者が見聞きしたことが迫力ある文体で書かれている。

よってドラマを見ているかのような、緊張感をひしひしと感じる。

この迫力ある語り口が故に、ページをめくる手を止められずに最後まで読み進めてしまう。

 

明かされる真実

この本では初めて明かされるような”安倍晋三”という政治家に関する様々な「真実」が書かれている。

  • 第一次安倍内閣で総理を辞職したときに何があったのか?
  • 二回目に総理になるまでに何をしていたのか?
  • そのときの自民党の総裁選に出馬するまでの経緯やその決意を後押しした人物とは?
  • 消費税増税延期までの激しい政治的な駆け引きとは

「安倍晋三」への見た方がガラリと変わってしまうような衝撃の真実の数々が書かれている。

 

終わりに

安倍晋三という人物を存分に語りきったノンシクション作品『総理』。

安倍政権がどのように国家運営に向き合い、何を悩み何を目標としているのかが伝わってくる。

とにかく”安倍晋三”という政治家への理解が深まる一冊である。

緊張感ある語り口も魅力のひとつ。

国のトップ「総理大臣」を決める舞台裏では何が行われているのか?政治家たちが裏で何を会話しているのかなどに興味がある人にもおすすめの本となっている。

 

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